AI画像生成、とくにStable DiffusionやSDXLを使っていると、看板やポスター、吹き出しなどに意図していない謎の文字や記号が描かれてしまうことがあります。「なぜプロンプトに書いた単語が中途半端に出てくるの?」「意味のない文字列なのに、なんだか“っぽい”」——今回はこの「文字の幻影現象」について解説します。

「AIが出力した文字の幻影例」
◆ なぜAIが「意味不明な文字」を描くのか?
この現象の根本的な原因は、Stable Diffusionの学習データに含まれていた文字やロゴ、看板画像などにあります。文字自体は“視覚情報”として学習されているため、**「文字っぽい模様」**として再現されてしまうのです。
たとえばプロンプトに poster
や signboard
を指定すると、画像内にそれらしい構図は現れるのですが、中に書かれる文字部分が実際の言語として意味をなさないことが多くあります。英語や日本語、中国語(簡体字・繁体字)などが混ざって出てくることすらあるため、妙な違和感を覚えるケースもあります。
◆ プロンプトの一部が“文字化け”することも?
プロンプトに使ったキーワード(例:girl with red umbrella
)の一部が、まるで看板やTシャツの文字として現れてしまうことがあります。特に (text)
や \()
のような記法を使っていた場合、AIがそれを強調した視覚的要素として処理しようとすることも。
例:「texttexttext」というプロンプトが看板に「text」のようなロゴとして現れる
これは記法が特殊な意味を持っているというより、あくまで視覚的ノイズや「文字らしさ」の表現として利用されてしまった結果です。
◆ 「異世界文字」的な活用法も?
一方で、この文字が読めそうで読めない感じを逆手に取り、「異世界の言語」や「謎の古文書」風の雰囲気を出すことも可能です。
- 実際の言語を使わず「それっぽく見える」記号を含ませる
- わざと簡体字や記号を混ぜたプロンプトを使って混沌感を演出
意味を持たないが“雰囲気”は伝わるというのは、ファンタジーやSF系の背景演出において、案外使いどころがある表現方法かもしれません。
◆ 文字を綺麗に出したいときの注意点
もし本物のテキストを明確に描写したい場合は、Stable Diffusion単体では難しく、以下のような方法が必要になります:
- ControlNet + テキスト画像のi2i変換
- 後からPhotoshop等で文字を合成
- フォント付きLoRAの導入(ただし不安定)
本格的に文字を使いたい場合、画像生成後に手動で加工するのが確実です。
まとめ
Stable Diffusionでの「文字の幻影」は、AIが文字を視覚的パターンとして学習している結果起きる現象です。不完全ながらもリアルに見える“謎の言語”は、作品の雰囲気作りにも使える一方、正確な表現には限界があります。用途に応じて、上手に付き合っていくのがコツです。
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