AIイラスト生成を行う中で、「肌の面積が多い画像をi2iで高解像度にすると破綻しやすい」と感じたことはありませんか?
実際、指が増える・脚が歪む・へそが2つになるなど、見た目に大きく影響するトラブルが起きやすくなります。
この記事では、Stable Diffusionにおける肌色の破綻が起きやすい理由と、デノイジング処理の限界についての考察をわかりやすく解説します。
肌色破綻の背景:なぜ肌の描写は崩れやすいのか?
● 肌は「情報量が少ない」領域
肌色は、服や背景に比べて色の変化が少なく、テクスチャも滑らかです。これは一見きれいに見える利点のようですが、AIにとっては「特徴の少ないのっぺりしたエリア」に見えやすいという問題があります。
その結果、デノイジング時に補完すべき情報が少なくなり、ノイズをうまく学習に結びつけられず、誤った再構成をすることがあります。
● 対象が「人体」であることの難しさ
指の本数やへその位置、脚の形などは非常に繊細なバランスで成立しているため、わずかなノイズ変化や推測ミスで破綻が目立ちやすいです。
特に肌の面積が大きい=露出が多い構図では、修正の余地が少なく、「結果的に誤魔化しが効かない」ことも原因の一つと考えられます。
デノイジング拡大の限界:なぜ高解像度になると崩れやすい?
● i2i(image-to-image)では「元絵の構造を保ちつつ」生成する
i2iは、元の画像をベースにノイズを加え、それを段階的に除去(デノイジング)していくことで新しい画像を生成します。低いデノイズ値(strength)であればあるほど、元の画像を強く保持しようとします。
しかし、高解像度化においては、「引き伸ばされたピクセル」にAIが新しい情報を上手く補完できないという限界が生じます。
● 解像度とノイズのバランスが崩れる
もとの画像が小さくて情報が少ないのに、それを2Kや3Kのサイズに拡大しようとすると、AIは「空白をどう埋めるか」で迷いやすくなるのです。
このとき、特に特徴の乏しい肌色部分は補完が不安定になり、へそや指の増殖、関節の歪みなどの現象が発生しやすくなります。
対策はあるのか? 崩れにくくする方法
- 肌色面積を少し減らす・衣装で覆う:露出を抑えることで補完の自由度を減らせます
- 高解像度化は段階的に行う:512→768→1024→2048といった具合に、少しずつサイズを上げながら調整するのが効果的です
- デノイジングのstrength値を微調整:i2iにおいては、0.2〜0.4程度が安定しやすい傾向があります(モデルや画像にもよる)
- アップスケーラーを併用する:RealESRGANなどのAIアップスケーラーを併用することで、AIの“創作”ではなく“補間”に近い処理が可能になります
まとめ
肌色の描写が崩れやすいのは、「情報量の少なさ」「人体構造の繊細さ」「i2iの補完処理の限界」が重なっているからです。
特に高解像度の生成では、デノイジングに過剰な期待をかけると破綻しやすくなります。
破綻を防ぐためには、「段階的アップスケール」や「デノイズ強度の調整」、さらには「構図の見直し」も検討するとよいでしょう。
AIの限界を知ることで、安定した画像生成のコツが見えてきます。
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